あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
過去

初恋の人



私の父と母は東京出身の幼馴染。

父は両親と一人の弟がいたが、両親の離婚により、母親と共に大阪に移住した。

母は一人っ子。
幼い頃に父親を亡くし、女手一つで育てられた。

大人になった母と父は再会し、結婚。

生まれ育った東京で暮らすことになった。

そして。
二〇〇二年三月十一日。
私、光希歩が生まれた。


小学一年の冬。
母方の祖母が病気で亡くなった。

母にとっては辛いことだったが、これを機にと父が言い出した。

「お母さん。光希歩。お父さん、漁師になりたいんだ」

突然の言葉に母は戸惑った様子だったが、結局、父と母で話し合い転職することになった。

父は元々自由奔放な性格で、面白いことを見つけると、すぐに熱が入るタイプの人間だ。

どこで何を聞いたかは知らないが、漁師になりたいと思ったのであろう。

そうして、知り合いだという人を頼りに、私が三年生になる前に引越すということが決まった。

< 44 / 240 >

この作品をシェア

pagetop