【完】スノードロップ ~希望~
「……これを。奏多が渡してくれって」

「?」

手紙?

私はおそるおそる開けた。

“柚季へ

口では言いづらいから、手紙を書くことにした。

手紙なんて書くの久しぶり過ぎて、手震えてる。”

「……バカ奏多……」

文字と文でわかる。

変わらない奏多が手紙の中にいた。

“できれば、俺が臓器を譲ってやりてーけど、柚季とも一緒に生きたいから無理。

俺にとっては、柚季は大切な存在だから、なんでも言えよ。

柚季はすぐに1人で抱え込むから心配。

柚季はどうか知らねぇーけど、俺は柚季のことなんでも知ってるから。”

「……私だって、なんでも知ってるよ……。幼馴染なんだもん……」

いつの間にか、涙が頬を伝っていた。

“約束、守れよ。

奏多”

「約束って……」

“私、決めた。生きれるところまで、精一杯生きる”

“……じゃあ、約束”

“……うん!”

あの約束、覚えて……。
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