恋にはならないわたしたち
マンションのすぐそばのコインパーキングに車を入れたらしい。
「部屋まで送る、なんか熱高そう」
瑞穂の眉間に少し皺が入る。
確かに身体が熱っぽくて辛い。
大人しく瑞穂の言う通りにした。
マンションのエントランスに入ると瑞穂が一瞬高級感に驚き目を瞠る。
エレベーターに乗り居住階のボタンを押すと音もなくドアが閉まり、ふわんと微かな浮遊感があった。
それがダメだったのだろう、三池が口を押さえて座り込んだ。
「みっ、三池?」
「あかん、吐く・・・・・・」
頭上で瑞穂が動く気配があり、口元を何か柔らかな布のようなもので押さえられるのと、目的階に着くのと、せりあがってきたものをその柔らかなモノにぶちまけるのとが同時だった。
「部屋は?」
「一番奥・・・」
「バッグから鍵出すよ」
三池の片腕を取り、体重かけていいからという瑞穂に寄りかかりながら部屋まで歩く。鍵を開ける音がして靴を無意識に脱いで寝室へ向かいベッドに腰を下ろした。