恋にはならないわたしたち
・・・・・・なんだ、ちゃんと予防線張られてる。
2人っきりで誤解させるような真似はしないということか。
3人で入ったのは洋風な雰囲気の居酒屋。
メニューを見ると料理はイタリアンが中心だ。
「取り敢えずビール」
「うわ、相変わらず真木はオトコマエというかオッサン」
「崎田、うるさい。シバくよ」
三池は言い合う瑞穂と崎田に構わず、メニューを見ながらテキトーに料理を注文していく。
「なあ、真木」
ビールの後にボトルで頼んだ白ワインがほぼ無くなり、頼んだ料理の大半が片付いた頃、酔った崎田がとろんとした目で瑞穂に呼びかけた。
コイツ、そういえば絡み酒だったなと思い出す。
「・・・崎田、飲みすぎとちがう?」
「こないだ、オレ中川に会った」
「そう」
中川・・・。
瑞穂の大学時代のカレシ。
初めて恋人と呼べる存在であり、男女の仲の何もかもを教えてくれた同級生。
2年付き合って、4回生の秋に別れた男。
思い出すと微かに胸の中に苦味が広がる。