冷たい君の不器用な仮面
「……ふぅ」
私はドクドクとなる胸にそっと手を当て、深呼吸した。
大丈夫、大丈夫。
マスターにも話せたじゃない。
レイに言うのだって、同じだ。
「……レイ、引かないで聞いて欲しいんだけど……」
震える声を必死に抑えながら、ゆっくりとレイに目を向ける。
「私ね__……って」
私は目線の先のレイを見て、目を見開いた。
「この場面で寝るか?!」
長いまつ毛に縁どられた目を閉じ、静かな寝息を立てていつの間にか寝ているレイ。
……っ熱があるのは分かってるけどさぁ
いくらなんでもタイミング悪すぎじゃない?!
「…無駄に疲れた」
私はなんの意味もなく強ばっていた身体から力を抜き、ガクッと床に座り込んだ。
さっきまでの私の勇気…返してよ
心の中でそうボヤきながらも、どこかでホッとしている自分がいる。
……今焦って言わなくたって、いいんだよね。
だってこれからは一緒に居られるんだもん。
言うタイミングなんて、いくらでもある。
「……はぁ…」
私は不満か安堵か自分でも分からないため息をつき、レイの寝顔に目を向けた。
……ったく、相変わらず綺麗な寝顔
その寝顔にまたも目を奪われてしまう自分に、もう一度ため息をついた。