冷たい君の不器用な仮面
「てか、なんでこの騒動起こした本人が今日は休みなんだよ?」
太陽が切り株に座り、弁当箱を開けながら口を開く。
「あー、それは……」
…暴走族に襲われて大怪我負ってるので、病院に強制送還されました。………
……なんて言えなぁぁあい!
それに加えて、昨日無理して学校へ行ったせいで体調崩したので、入院日数が増えました。
なんてこと………
……言えるはずがなぁぁぁああい!!
……ゴホンッ。
ここは無難に…
「体調不良みたいだよ?先生から聞いた」
…………と言っておこう。
よし、完璧。
すると太陽は、そんな私の嘘に軽々と乗ってくれ、
「へー、見かけによらず体弱いのなアイツ。あっ、もしかして昨日の放課後も体調悪かったとか?」
と、都合のいい様に解釈してくれた。
私はその言葉にブンブンと頭を大きく振りながら頷き、太陽の正面に座った。
「そう、そうなの!それで私が声掛けたら倒れちゃったから、運んだけなの!」
「なんだ、そうだったのかよー!無駄に心配したじゃねーか。早く言ってくれれば良かったのに」
「うんうん、ごめん!もっと早く言うべきだったよね」
私は心の中でガッツポーズをしながら、何度も頷く。
……これで太陽には、私とレイの関係を変に誤解されずにすんだだろう!
「……ん?いや待てよ…じゃあなんであの車に乗る必要があったんだよ?」
……ぐえっ
い、痛いとこ付かれた……
いやいや、でもこれは切り抜けれる!!
「な、なんかお礼がしたいって言われて!つい断れなかったっていうか…」
私はチラチラと太陽の様子を伺いながら、話した。
すると太陽はふーんと一言返事をしたかと思うと、
「まっ、とりあえず食べようぜ!」
と、話を逸らしてくれた。