私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

…どうして?源之助さん、どうして……。

私が口を開こうとすれば、源之助さんはそれを阻むだろう。分かってる。でも、でも…こんなの、嫌だよっ!!

「ッ…」

口を開こうとした、その時だった。

破裂音の数秒後聞こえたのは、人が倒れる音。…銃口を向けていた源之助さんは、地に倒れ、手にしていた拳銃は源之助さんの手から離れている。

「っはぁ、っはぁ……」

肩で息をする呼吸に自然と顔を向ける。

撃たれた腹を押さえたまま、肩で息をする平沢さんは、硝煙の上がる銃口を構え続けていた。

「…ッ見苦しい真似、してんじゃねぇよ」

その言葉は、あまりにも重くて。

平沢さんの悲鳴のようにも感じた。

沈黙が落ちる。

誰も動けなかった。

…どうして?どうして、こんな道を選んだんですか……。

源之助さん…。

誰も何も言えないまま、遠くから聞こえてきたサイレンの音が頭に響いていた…。
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