飛べない翼
「順番でお呼びいたしますので、しばらくお待ち下さい」
タクシーを呼んで、お母さんの勤めている病院までやってきた。
だけど……。

病院のロビーは人、人、人。
座る場所さえも、探さなくてはいけない。
「太陽、大丈夫?」
日向の腕の中でぐったりしている太陽に声をかけた。「おかあしゃん」
やっとの事で口にした言葉は、日向ではなく、お母さんだった。
だけど、太陽が口にしたところで、お母さんがやってくるわけでもなく。
ギュッと日向は太陽を握りしめる。
「ごめんね……。太陽」
無力な自分が嫌になる。
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