私の失恋の行き着く先は…No.5
きっと上手く誤魔化せただろう。
私はこの1年、いろいろなことを誤魔化し、気づかないフリをしてきた。
「本当にピッタリだと思ったのよ!」
力説する蓉子さんに、私は脱力しながら答えた。
「企画部の誰それさんにも広報部の人にも、すでに彼女がいたんでしょう?」
蓉子さんはテヘッと笑ってアイスコーヒーを飲み干した。
「蓉子さん、そろそろ会社に戻りましょう。午後から会議あるんでしょう?」
「忘れてた!」
蓉子さんは慌ててバッグを掴んで、勢いよくお店を後にした。
私はひとり、のんびり歩いて大通りの桜並木を見上げた。
そういえば、いつからだろう。
目に映る景色が色褪せて見えるようになったのは…。