ダメ。俺のそばにいて。





「…俺の名前知ってるの。」



「え、だって、転校生なんだから知ってるよ…。」



「そういうもの?」




不思議そうに眉を寄せた質問に、戸惑いつつも頷いた。




そりゃあ夏休み明けに、隣のクラスへ転校生としてやってきたんだから注目の的に決まってる。



しかも情報に弱い私でさえ耳に入るほど、久遠真尋の噂は凄かったんだから。




陽に透ける柔らかそうなハニーブラウンの髪の毛と、その間から覗くくっきりとした二重の瞳。



すっと整った鼻筋に、形のいい唇。



身長は軽く180cmは超えていそうで、手足ともにすごく長い。



そんな日本人離れした容姿を持つのに加えて、家柄もかなり品格があるらしい。



そして何よりこんな時期に転校してきたのは今まで留学していたイギリスから帰ってきたから、というハイスペックっぷり。



情報通の真音からその噂を聞いた時は『少女漫画から出てきた人なの?』と突っ込んだレベルだ。




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