ダメ。俺のそばにいて。
…え。
一瞬、時が止まる。
だけど、当の本人は全く気にしてなさそう。
それを見て、熱い頰を隠すように下を向いた。
ず、るい…。そんな、女の子が喜んじゃうことサラッと言っちゃうなんて。
そんなの勘違いに勘違いを重ねれば『私なら一緒にいてもいい』みたいに聞こえるじゃん…。
そんな勘違いしませんけどね!身の程弁えていますので!
だけど、それよりもなによりも衝撃だったのは別の箇所。
「……私の、名前。」
「あれ、星玲奈でしょ。セレナーデ。違った?」
「いや、合ってる!合ってる、けど…!」
「…?」
本人は無自覚みたいだけど、男子に名前呼ばれたのなんていつぶりだろう。
なんだか、顔が熱い。今、きっとほんのりと赤く染まってる。
当の本人は『なんで赤くなってるの?』って思ってるよ絶対!
「なんで赤くなってるの?」
「ですよね!」
はい、正解!
私の反応に久遠くんは不思議そうにする。
「…ううん、あの、久しぶりに男子に名前で呼ばれたから、驚いただけ。」
恥ずかしさを必死に抑えながら、ポツリポツリと言葉をもらす。
久遠くんは少し疑問そうだったけど、なんとなく理解してくれたみたい。