ダメ。俺のそばにいて。




「星玲奈って名前は、セレナーデだから覚えた。」




静かに微笑んだ君に、また次の言葉が出てこない。


…本当に綺麗。細まったその瞳に吸い込まれそう。



好きじゃなかったこの名前、たったこれだけで星玲奈で良かったなんて思うなんて。



不思議な久遠くんの…、魔法みたい。




「じゃあ、私が頑張って慣れる、ね。」



「んー、別に慣れなくてもいいけどね。」



「なんで…?」




私が不思議に思って問いかけると、久遠くんはしてやったりみたいな笑顔を見せた。




「だって、さっきの照れた顔、もっと見たい。」


「…っ!?」




私の目を見開いた反応に、悪戯っ子のように満足したみたい。



さっきから、ずるいこの人…!



自分の見た目を自覚せずに、ずるいことしかしてこない!




さっきの訂正。やっぱり久遠くんは変わってる!




< 32 / 175 >

この作品をシェア

pagetop