この恋。危険です。
私たちの様子を見ていたたくやが話しかけてくる。
「海斗さん。やっとですね。」
たくやの言葉に、やっぱり彼は最初からわかっていたんだと納得する。
「はい。たくやさん、いろいろありがとうございました。」
「いえいえ。我も強いし、面倒なやつですけどよろしくお願いします。でも、友里を泣かしたら許しませんから。」
「もちろんです。'やっと'ですから。大切にします。」
2人の会話に、彼の言葉に、顔が熱くなってくる。
そんな私にたくやが優しい目を向けてくる。
「ゆりも。よかったな。」
「うん。でも、わかってたんなら、教えてくれたらよかったのに。」
そうすれば、こんなにこじらせずにすんだはず。
「いくら、身内でもお客さんの個人的なことは言えないからな。もどかしかったよ。海斗さんの話聞いて友里のことだってすぐ気付いたけど言えないし……」
「え?たくやさん、友里のことだってすぐにわかってたんですか?!」
「そりゃぁ……」
たくやが窺うようにちらりと私を見た後、話を続ける。
「今だから言えるけど。合格発表の日、大学で発表見るっていうから連れていったの。そしたら、医学科の方気にしてたから……」
「ちょっと、たくやっ!!」
「困ってた医学科の子に声かけたって。しばらく、あの子どうなったかなぁって言ってたし、受験の時期になると未だに言ってるしな。この前の冬に言ってたときには『カイさんだよ。』て言いたくてたまらなかったよ。」
あーもう。恥ずかしい。
竹中先生が、びっくりしたように見つめてくるし、たくやはくすくす笑ってる。
「なんだ。友里もずっと覚えてくれてたんだ。」
「たまたまっ。覚えてただけ!!」
「いいよ。たまたまでも。覚えてくれててうれしい。」
そんなに嬉しそうに微笑まれたらなにも言えなくなる。
「はいはい。続きはお二人でどうぞ。」
「そうですね。友里、いくよ。」
そう言って、彼が私の手をとる。
理由もなく、繋げることがうれしい。
「うん!!」
これから先のことはわからない。
不安がない訳じゃない。
でも。
ただ、彼のとなりを歩いていきたい。
そう思った。