暗闇の中に放たれた光~完全版~
分からないようそっと鞄に入れ、立ち見をしただけの来客のように店を後にした。

店を出た後、振り返ったが、店員が現れる気配がしない。

どうやら俺は成功したようだ。



さっきまで耳にシトシトとうざったく聞こえてきた雨は、いつの間にか聞こえなくなっていた。

代わりに聞こえてくるのは、早い鼓動を鳴らす俺の胸。

手足が震えていた。早く、早くここから立ち去らなければならない。

無事に店から出られた後、足取りを速くした。

まるで罪悪感の塊が、俺の背中を追ってくるようだった。
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