心にきみという青春を描く



暫くすると、校舎からは続々と宮ノ森の生徒たちが出てきた。

校門に立っていた私たちはかなり目立っていたけれど、そんなことなんて気にもせずに、日向くんの姿を探す。そして……。


「あ……」

先輩から小さな声が聞こえてきた。視線の先を追うと、そこには日向くんがいた。


お互いに目が合っている状況が永遠のように長く感じる。

私たちに気づいて一瞬だけ止まっていた足は、再びゆっくりと歩きだした。


「なにしにきたんだよ」

なぎさ先輩の前まできた日向くんが冷たく言い放つ。でもこれはわざと尋ねてるって分かった。

中途半端な気持ちじゃないことを確かめるかのような視線に、先輩がまっすぐ答える。


「日向と話しにきた」

その言葉に日向くんはなにも返事をしなかったけれど、代わりに付いてこいという足取りで私たちよりも数歩先を歩きはじめた。

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