心にきみという青春を描く
たどり着いたのは河川敷の土手だった。隣町とを結ぶ鉄橋の上では絶え間なく車が行き来していたけれど、穏やかに流れる川が音を吸いとってくれているように、土手はとても静かだった。
「で、話って?」
日向くんが足元に転がっていた小石をちゃぽんっと、川の中に投げ入れる。
「……葵のこと、ちゃんと謝ろうと思って」
「たしかにお前はうちの両親には床に頭がめり込むぐらいの勢いで何度も謝ってたけど、俺には一言もなかったもんな」
「本当にごめん」
なぎさ先輩が日向くんに向けて深く頭を下げた。
日向くんは視界の中にその姿を捉えてはいたけれど、直接見ようとはしなかった。
「じゃあさ、質問いい?」と、日向くんは先ほどよりも大きな石を川に投げた。
「俺がなにに怒ってるか分かる?俺がなにに対して許せないと思ってんのかお前分かってんの?」
鋭い眼差しとともに日向くんが先輩のことを睨む。先輩はぎゅっと握り拳を作って、言葉に詰まりながら話はじめた。