心にきみという青春を描く



「お前はなんにも分かってねえ。だからムカつくんだよ。お前の顔を見ると腹がたって仕方がない」

「……ごめん」

「お前が自分のことを情けなく思うのは勝手なんだよ。ああすればよかった、こうすればよかったって後悔してることなんて今さら上げてもどうしようもない」

「ごめん」

ただ謝る言葉を繰り返すだけの先輩に、日向くんは呆れたように手を離した。


「お前がそんなウジウジしたヤツだとは思わなかった。最初から知ってたら友達になんてなってねえし、葵と付き合うことを認めたりしなかった」

そしてうつ向く先輩のことを見下ろしながら、日向くんはグッと唇を噛み締める。



「お前なら、いいと思った。……お前だから俺はいいと思ったんだ」

怒りに身を任せるだけの今までとは違い、日向くんの声は震えていた。



「俺と葵は本当の兄妹じゃない。親の再婚で小学校の時にあいつは俺の妹になった」

河川敷の空気がひんやりとしたものに変わる。
動揺を隠しきれない先輩は、やっと顔を上げた。

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