夜桜は山奥の
現実?

現実逃避

目を覚ました。

目に映ったのは病室の天井などではなく、背の高い木々。
土の上に横たわっていた。

「森林…。」

朝だろうか、霧がすごい。
木々と霧が朝の光を遮る。
少し暗くてジメジメしている、
しかし空気が澄んでいる。
涼しい。
都会で味わった事はなかった。

美しかった。

濡れたコケや土が露で光り、
生き生き見えた。

それと同時に私はもう死んだのかもしれないと思った。

とりあえず立ち上がる。
白いパーカーを土が汚している。
果たしてこんな軽装であの世なんて行って良いのだろうか…。

神秘的な空気を感じながら桃源郷を彷徨うかのように歩く。
木々が綺麗に並んでいて、道のようなものがあった。
私は道通りに歩く。

霧で前が見えない。
私は多少の不安と多分死んだ事に対しての嬉しさで涙を流した。

もう帰らなくていい!

私はリュックの肩にかける部分を握りしめ、期待を背負って歩く。

もう現実は見たくない


でも誰が私をここに連れてきた…?

ここはどこ…?
< 2 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop