夜桜は山奥の
伊田地家

住人

屋敷はやはり広かった。

「目の前に見えるのが本殿。
左の小さい建物が馬小屋、
右が畑、その奥に見える小さい建物が鳥小屋だよ。
本殿の後ろから右側にかけてL字に川が流れてる。
外の川と繋がってるんだけどね。
あとこの広場は練習場所みたいなもん
だよ。」

「練習?」

「乗馬とか弓道とか刀の練習だよ。
あいつは乗馬してるね、名前は優馬。
名前通り馬に優しいよ、相棒のにんじんには特にね。」

馬に乗れるなんてすごい。

「練習終わったらあいつも来るよ、とりあえず中に入って休もう。
そういえば名前は?」

「桜って言います、白石桜です。」

「桜って呼んでいい?私のこと響花でいいよ。歳は?」

「今年で17です。」

「同い年か、なら敬語じゃなくていいよ。」

「うん!よろしくね。」

「うん、よろしく。」


まさかの同い年か…。
結構びっくりしたな。
絶対年上だと思ってた。

でもここから何が始まるんだろう、
細かいことは考えないで、ここに身を任せよう。

玄関は本殿の右側にあった。
中は普通に和風の家のようだ。

「お邪魔しま〜す…。」

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