☆君との約束
「……」
陽希は、無言でその場を去った。
妻を迎えに行くのだ。
「魅雨」
名前を呼ぶと、彼女は顔をあげて。
「陽希」
自分を認めて、微笑み返してくれる。
それが何よりも幸せで、だからこそ、陽向の姿が痛々しくて。
「紗雨は?」
「寝てるよ」
魅雨が抱える、小さな宝物。
莉華を壊した、残酷な新しい命。
「莉華に会いに行くか?」
「会いたいけど……また、今度の機会にするわ。紗雨もいるし、莉華、赤ちゃんのことには敏感になっているだろうから」
魅雨の懸命な想いに、俺も同意する。