☆君との約束




紙に書かれた住所を訪ねると、ふらふらとした足取りで段ボールを運び込む彼女の姿があった。


今にも転びそうな彼女を背後から助けると、


「うわっ、篠宮くん!?」


驚かれて。


「な、何で、ここに……」


「最近、学校に来ないから」


「へ?」


「学校に来てよ。莉華の顔を見ないと、何か、寂しい」


「名前……」


……彼女に興味を持った。


だから、一線を越えたんだ。


「私ね、家族いないの」


莉華は話してくれた。


自分の身の上。


「篠宮くんは覚えてないかもだけど、私ね、小さい頃からの夢がお嫁さんで……恥ずかしながら、王子様とか大好きで……」


「恥ずかしくないよ」


「へ?」


「良いじゃん。王子様」


夢を見るのは、良いことだ。


すると、顔を赤くした莉華。


顔を覆い隠しながら、彼女は言った。


「……その思想が、貴方を好きになったと言っても?」


「え?」


「初めて貴方を見たとき、王子様みたいって思って……気になって、気になって、気がついたら、好きになってたの……」


「……」


特別な、告白だった。


今までのと違う、そんな告白。


「……俺のこと、好きなの?」


ゆっくりと、頷く君。


何かが崩れ落ちた瞬間だった。


俺は目元を和らげ、そっと彼女を抱き寄せて。


「ありがとう」


……嬉しかった。


莉華からの言葉は、素直に心に届いた。



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