☆君との約束
「本当、ありがてぇなぁ……」
くしゃり、と、陽向は顔を歪めて。
「ここで後悔したって、立ち止まったって、世界は変わらず回るんだ。なら、進むしかねぇなぁ……」
自分に言い聞かせるように、
「莉華は『思いっきりやってから、後悔した方が良い』が、口癖だった……」
反芻するように、
「莉華のために、生きるしかねぇなぁ……莉華はまだ、生きてるんだから」
そう、後悔したって回るんだよ。
嘆いたって、地球は回るんだ。
淡々と、我ら人の感情など関係なしに。
時は進むんだ。
戻ることなく、永遠に前に進み続けるんだ。
なら、後悔無きように生きる方が良い。
後で後悔すると思うなら、怯えていないで、今やっていた方がいい。
息をしている限り、信じてもいいじゃねぇか。
例え、人が1人死んだって、この世界は変わらねぇ。
淡々と、非情に回る。
だから、父は俺らに言った。
大切なものを大切と言えない場合がある立場だからこそ、大切なものは握りしめてろと。
そうすれば、望む未来を失わずにすむからと。