☆君との約束



「本当、ありがてぇなぁ……」


くしゃり、と、陽向は顔を歪めて。


「ここで後悔したって、立ち止まったって、世界は変わらず回るんだ。なら、進むしかねぇなぁ……」


自分に言い聞かせるように、


「莉華は『思いっきりやってから、後悔した方が良い』が、口癖だった……」


反芻するように、


「莉華のために、生きるしかねぇなぁ……莉華はまだ、生きてるんだから」


そう、後悔したって回るんだよ。


嘆いたって、地球は回るんだ。


淡々と、我ら人の感情など関係なしに。


時は進むんだ。


戻ることなく、永遠に前に進み続けるんだ。


なら、後悔無きように生きる方が良い。


後で後悔すると思うなら、怯えていないで、今やっていた方がいい。


息をしている限り、信じてもいいじゃねぇか。


例え、人が1人死んだって、この世界は変わらねぇ。


淡々と、非情に回る。


だから、父は俺らに言った。


大切なものを大切と言えない場合がある立場だからこそ、大切なものは握りしめてろと。


そうすれば、望む未来を失わずにすむからと。


< 30 / 119 >

この作品をシェア

pagetop