☆君との約束



とてとてと、拙い足取りで歩いてきた相馬。


「相馬?どうしたの?」


「……」


相馬は無言で、俺のそばにある机の上のティッシュケースに手を伸ばす。


「ティッシュが欲しいの?どうした?鼻噛む?」


「……っ、」


首を横に振る相馬。


「りっちゃんが……」


そして、小さな声で言った言葉。


思わず、駆け寄るよね。


莉華のそばに行くと、ボロボロと涙を零した莉華。


「莉華?どうした?何か、嫌なことでもあった?」


そう尋ねると、ぎゅっと服の裾を握ってくる依。


依のせいではないんだけどな。


依の方を見て、大丈夫だよ、と、頭を撫でてやる。


相馬は無言で、莉華にティッシュを差し出してる。


「……陽向」


名前を呼ばれる。


「ん?」


たまの、気まぐれ。


決して、あとには続かない、いつもの―……。


「ごめんね」


「……」


「弱くて、ごめん」


……いつものでは、無かった。


「陽向?」


「……」


俺の中の、何かが壊れてしまったように。


「ひなくん?」


依が手を引く。


「……」


相馬が手を握ってくる。


分かるのに。


分かっているのに。


「ただいま……」


―ああ、久しぶりの、君の"本当”。


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