副社長と恋のような恋を
 寝室のドアを開けると、ベッドの上に座って本を読む副社長がいた。室内はベッドの近くにあるスタンドライトだけがついている。

「お待たせしました」

 副社長は本を閉じ、サイドテーブルにそれを置いた。ドアの前で動かない私に向かって、副社長はおいでと両腕を広げる。

 私はためらいがちにベッドの上に乗り、副社長の腕の中に潜り込んだ。

 お互い、そのまま特に動かなかった。ただ、私の髪を大きな手がゆっくりと撫でているだけだ。

 副社長の胸に抱きかかえられているせいで、規則正しい鼓動が聞こえる。それを聞いていると、とても安心した。

 副社長の手が、私の両肩にのせられる。そして体が離れた。じっと目を合わせてから、目を閉じる。

 さっきしたのとは違うキスが降ってくる。優しさよりも強さが勝っていて熱い。そのままベッドへと押し倒された。唇が離れ、目を開ける。視界には副社長の顔と天井が見えた。

「ねえ、このベッドで、何回ふたりで眠ったか知ってる? 君を抱き枕みたいにしていたけれど、本当は下心がいっぱいあったんだ。でも、麻衣が好きだと言ってくれるまでは、なにもしないって決めていたからね。俺の理性を褒めてもらいたいよ」
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