副社長と恋のような恋を
四度目のデートですることは
 七月に入り、数か月前の涼しい日々が恋しくなる。この数か月、デートという名の恋愛ネタ実践提供タイムはなかった。

 副社長は仕事の関係で、海外にいる時間が長くなっている。

 私のほうは連載していた小説が完結し、単行本化に向けての修正と書き下ろしを書いていた。お互い忙しいため、会社以外で会うことはなかった。

 だだ、副社長は海外に行っていても、メールだけは欠かさずくれる。忙しいんだからメールはいりませんと返信したら、電話先で怒られた。まさかそんな展開になるとは思わなかった。その結果、副社長から来たメールに私が返信するのではなく、私からメールをするという話で、副社長の小さな怒りは治まった。

 自分からメールをすると言っても、特にメールすることがなかった。苦肉の策で空の画像や夕飯の画像を送ったら、すごく喜ばれた。そして副社長も海外の風景や食事の画像を送って来るようになった。

 気が付けば私のスマホには副社長とやり取りしたメールや画像が増えた。ただ、登録している名前が川島なため、メールの履歴を一覧で見ても甘い雰囲気がまったくない。

 ark新作会議では “一緒に刻みたい時間”がテーマとして決まった。でも、デザインが難航していた。

 特にデザイン部の村田先輩と山岸さんに至っては白熱している。
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