絶対に守るから。
一章・高い場所なら

いい加減にしろよ

俺たちの日常は変わってしまった。平和に、のんびりと戦うための知恵だけを身に付けていれば良かった毎日がいきなり現実を叩き付けてきたんだ。
新しい姫が来てからという物、知恵だけじゃ機械と変わらない事に気付かされた。戦うための知恵だけを身に付けていたら、愛してしまった姫を身の回りに潜む危険から守ってあげられないんだ。

「姫様!またこんな所に登って・・・っ!早くお降りくださいませ!」

まずはどんな恐怖にでも耐えられる度胸だ。死ぬ時は一瞬の苦しみだから死への恐怖はない。でも、彼女が引き起こす恐怖は簡単に取り払えない。城の一番高い屋根の上に登ったり、歩けないような細い場所を歩いたり。落ちてしまいそうな危ない行動ばかり取って俺を絶望と恐怖のどん底に落とすんだ。
彼女は本当にずるい。今にも失神してしまいそうな俺を見ては大丈夫だと笑う。惚れた日と同じ笑顔を俺に向けてくるんだ。
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