絶対に守るから。
自分一人では絶対に勝てない、相手にすらされない。目の前にいた小さな虫を潰す時のように意図も簡単に潰してしまえるような存在に立ち向かおうとしているんじゃないか。
世界を飛び回っていた魔女であるヘゥインだから相手に出来るような者で、俺がいても足手まといにしかならないような気がして。俺がいた所で何の役にも立たないような気がして。
最初から宛にされていないという事は分かっていた。ヘゥインが俺たちを連れてきたのは一緒に戦うためではない。限界を迎えて諦めてしまいたくなった時、俺たちがそばにいれば自分の限界を越えられるのを知っているからなんだ。

「皆はそばにいて。自分の身を守って」

「俺はお前の盾となる。それだけだ」

そうだな。エレナードはいつも彼女のそばにいた。俺の知らない彼女のそばで俺の知らない彼女を支えて来てくれた。
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