絶対に守るから。
カーレイジの気持ちはよく分かる。俺も引き止めたい者の一人だ。止めたいけれど繋がれた手が離れていった時、もう会えなくなるような衝動に駈られて自分を見失ってしまう気がする。彼女を傷付けてまで阻止したくなりそうなんだ。

「大丈夫。行ってくる」

笑えば俺たちが安心するとでも思っているのか、いつものように優しく笑えば良いと思っているのか。お前の笑顔で安心できるのはいつもの生活があったからなんだよ。お前が本気で死ぬかもしれないと思っている時に笑顔を見せられても安心できるわけないだろう。
死ぬ気で戦わないと自分の命すら守れないような相手のいる所にお前を一人で行かせるというのに信じられるわけないだろ。いつものように大丈夫だと言われた所で、お前が無理をして作っている笑顔を見た所で信じられるはずがないんだ。だってお前は本当に辛い時、一人になりたくない時に俺の目を見て唇をほんの少しだけ噛むんだから。
< 150 / 270 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop