絶対に守るから。
俺だってすぐ捜索したかった。でも、任務から終わったらまず国王に報告だろ。報告が遅くなった時の事を考えたら先輩の俺が国王の所へ行って、後輩であるお前を捜索に行かせるしかないじゃないか。この城での上下関係は絶対に守らなければならないという暗黙の掟がある以上、お前に任せるしかないんだよ。本当は俺が一番最初に駆け付けて彼女の笑顔を見たかったんだ。

「気にすんなって。姫様も無事で何よりだ」

「その名前で呼ばないで」

何で思ってもいない事を喋って良い顔してなくちゃいけないんだ。何で思ってもいない言葉で睨まれなきゃいけないんだ。だってほら、俺は兵士で彼女は姫君だから。もうただの来客と兵士じゃないから。ただの来客だった頃のように気安く話しかけてはいけなくて、彼女は遠い存在になったから。
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