黒魔術

       *

薄暗い部屋の中で、黒いフード付きのローブを身にまとった少女が、机の前に座っている。

フードの陰から見えるその顔は、しいなだ。

彼女は今身を乗りだして、机の上に置いた、たてよこ30センチぐらいの箱の中を、虫メガネでのぞきこんでいる。

箱の中にあるのは小さな町の模型だ。

模型の町の中を、アリのように小さなものが立って動いている。

虫メガネで拡大して見えたそれは、森本コオだとわかる。

しいなが魔術を使い、コオの体を極限まで小さくしたのだった。

「ふふふっ、コオ君て、やっぱりかわいい」

まっ赤なルージュを引いた唇のあわいから毒々しい笑い声がもれ、とがった歯が光る。

「これからは、コオ君はずっとあたしのものよ。もう、あんな、はるかなんて女がコオ君に近づいたりすることもないわ。だって……」

しいなは左のほうへ目を向ける。

机の少し左のほうに、もうひとつ同じ形をした箱が置かれていた。

その箱の中にも、同じようなミニチュアの町がある。

その町の中を、アリのように小さくなったはるかが、泣きべそをかきながらさまよい歩いていた。



                 (了)
< 11 / 11 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

プロポーズ(第7話)

総文字数/24,665

恋愛(オフィスラブ)54ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 バカバカしい。  ありえない。  でも、なんだかちょっぴりホッとする。  そんなおバカなお話をめざして  31歳のOL友高冴(ともたかさえ)の1日を描いてみました。  冷やかしでけっこうです。  1ページでも、2ページでも、覗いていっていただけたら  とても嬉しいです。
恋を知らない

総文字数/25,862

ファンタジー58ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
西暦2×××年、ほとんどの男性の精子が卵子を受精させる能力を失った。 生殖能力を持ったわずかな青少年が政府に保護され……。 未来世界を舞台に、シリアスで、ほろ苦い愛の物語をめざして書きました。 なお、物語の進行上、性的なシーンがいくつか出てきます。 性的な表現を極力おさえていますが、それでも嫌悪感を抱かれるかたは読まないでください。
プロポーズ(第6話)

総文字数/857

恋愛(ラブコメ)3ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ある夕暮れに、ぼくが見たものは……。 ごく他愛のないオチのショートショートです。 お箸休めにでもお読みいただけたら幸いです。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop