Deal×Love
「俺の言うことが信じられない?それなら今から訊いて来れば良い」

彼は無表情だけれど、嘘を付いているとは思えない。

それにそれが真実だとして、父を今問い詰めてもあのプライドの塊の父が経営が傾いているなんて外出先でなくとも、娘に弱音を吐くだろうか。

今は気になるのはそれよりも、この人。


「どうしてそこまで……貴方の会社には何のメリットも……」

「君と取引したいんだ」

「え?」


取引?


「君は俺と結婚する。住むところは一緒になるが、バレないようにしてくれれば自由に恋愛だってすれば良い。お互い干渉しない。もし好きな相手が出来たら、すぐには無理だが離婚することを約束する」


まさかの話に、え、と固まる私に彼は続ける。


「K.コーポレーションは潰れる予定は無い。俺と結婚すれば、俺達の会社から君の家の会社に出資する。これで君の家の会社は安泰。悪い話じゃないだろ?」


確かにそうだ。
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