Deal×Love
アリサとの電話を切ると家を出る用意を完了した私は桜を迎えに行った。
桜はトランクを転がしながら未だに動揺していたけれど、私は玄関を通った後は振り返ることもなく本多家を出た。

父も母も、私達を止めにも来なかった。

もう未練も無いわ。

私は前だけを見て、トランクをコロコロ転がせながら歩く。


「アリサとは家との中間地点の電車の駅で落ち合うことになってるんだけど、お金を遣えないから電車に乗ろう」

「私、乗ったこと無いです……」

戸惑った声の桜。
桜も私と同じで箱入り娘だ。

「大丈夫、私も初めて乗ったのは三ヶ月前だから。何事も経験よ。案外楽しいから」

家を出て約四ヶ月。
キッカケをくれたのは憎き父だけれど、外の世界を見れたことは良かった。

「……御姉様、凄く変わりましたね」

「そう?」

「物凄く頼もしいです」

「ありがとう」
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