Deal×Love
それから十日後、大学の入学式の五日前の大安の日に私達は入籍をすることになった。
大安とか気にしなくても良いのに。


「御姉様……お元気で……」

朝、部屋を出ると暗い顔をした桜が部屋の前に立っていた。

「桜、いつまでも負い目を感じないで。私は幸せな結婚をするの」

微笑んで返すと桜は驚いた顔を作る。

確かに契約的な結婚だが、私には幸せなこともある。
父から煩く言われることもなくなるし、何より自由が手に入る気がする。

「だから桜も頑張って」

「はい……」

残していく桜と母だけが気がかりだが、笑顔で過ごして欲しい。


そして海さんが今日も車で迎えに来てくれた。
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