お見合いから始まる恋→結婚
そこで中村さんはにたっと笑った。

「あの電話のおかげでやっと原は吹っ切れたのか、この軽トラックの準備を私に任せてくれたんだ。すごく嬉しかったよ。」

信号が赤になった。

「だから原は陶子さんに出会えて本当に良かったと思う。…陶子さん?」

私が返事を出来なくなったので、中村さんは私の方を見た。

私は俯いて、ポロポロ出てくる涙を手で押さえるのに必死だった。

「すっ、すいません。尚登はそんな事は少しも話してくれなくて…。」

中村さんは信号が変わり、また正面を向いた。

「原を思ってくれているから、涙が出てくるんでしょう?本当にあなたで良かった。」

やっぱり前をむいたまま、うっすら微笑みをたたえた中村さん。

「私は璃子さんの事を誤解して、こちらから連絡を取れなかったんです。正直どうしたらいいのか分からなくて…。」

やっぱり涙が止まらない。

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