お見合いから始まる恋→結婚
身体を小さくしながら、私は何も言葉を出せずに考えていた。

こんな状態で狭い空間に2人でいるのはつらい。

しばらく沈黙が続く中、私は腹を決めて尚登さんに話しかけた。

「今日は何か他に予定があったのではないですか?」

尚登さんはそれまで少し怖い顔をしていたが、私の一言にそれを緩めた。

「どうしてですか?」

尚登さんは怪訝そうに聞いた。

「…何となく私と会いたくなかったのではないかと思いまして…。」

私は恐る恐る小さい声でつぶやく。

「えっ?」

尚登さんがこちらを向いた瞬間、車が少し蛇行した。

「運転中は前を見ててください。」

私も尚登さんから自分の視線を前に移した。

「…ご機嫌が悪そうなので、そうなのかなと。」

< 17 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop