お見合いから始まる恋→結婚
耳元に感じる尚登さんの息遣い。

「陶子さん、返事を下さい。」

尚登さんは私から離れると、私を正面に見据えた。

「…ずるい。」

私は一旦尚登さんから視線を下に外しながらつぶやいた。

「えっ?」

「私だけ面と向かって返事をしなければならないんですか?」

尚登さんは私の顔を覗き込み、一瞬躊躇しながら私の頬に両手を差し伸べた。

そして自分の方を向かせた。

「平川陶子さん、私と結婚を前提にお付き合いをして下さい。」

私は尚登さんの手に頬を包まれたまま、顔を横に振った。

「えっ?」

ぎょっとした尚登さんの顔に私は微笑み返す。

「さっきと同じことを言ってくれないと嫌です。」

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