お見合いから始まる恋→結婚
少し前がかりに、さっきとは違って早口に話す尚登さんに私は圧倒されていた。

私はゆっくりとうなずいた。

そしてその時の尚登さんの表情を思い出していた。

「私はそれで気持ちを確認し合えたと思っていました。そこから私達のお付き合いは始まったのだと。」

そこで尚登さんは一旦息を吐き出して、私の答えを待った。

「私は尚登さんが何も言ってくれないので、まだお友達の延長ような関係なのかと思っていました。」

私の消え入りそうな声に、尚登さんは目を丸くする。

「だから母との会話でそのような事を言いました。それを聞いた母が勝手に解釈してしまったのでしょうね。」

その瞬間だった。

尚登さんは私の方へ身体を乗り出すと、私を抱きしめた。

「言葉が欲しいのならいくらでも言います。」

私は身体ごと包まれて、尚登さんの腕の力を感じる。

「私は…、陶子さんが好きです。結婚を前提にお付き合いをして下さい。」

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