お見合いから始まる恋→結婚
「でも今日ここの動物園に来るように提案してくれたのは陶子だっただろ?」

私は素直にうなずいた。

「そこで気が付くべきだったんだよな。俺が研究で行き詰ると動物園へ行くという話を覚えていてくれたんだろう?」

そこで尚登さんはとても嬉しそうに、でも照れくさそうに笑った。

「それに何より今日ちゃんと会ってくれたんだもんな。」

ちょっと満足そうな尚登さんを見て私は言った。

「…それに気が付かずに、ずっと機嫌が悪くてあんなぶっきらぼうなしゃべり方だったわけ?」

尚登さんの表情にホッとしたけど、私はまだ頬を膨らませたままだ。

そんなに簡単に許すわけにはいかない。

「私よりお母さんを信じるって事だよね?」

「そうじゃないよ、そうじゃないんだけどさ。」

ちょっと慌てた尚登さんを見るのも新鮮だ。

「…珍しく冷静に考えられない自分が居てさ…。」

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