お見合いから始まる恋→結婚
「なかなか先に進まないのはちょっと不安になるわ。」

やっぱりお母さんの中でもあの事が思い起こされるのだろう。

「お母さんは尚登の事、どう思う?」

私の質問に今度はお母さんが反応する。

「尚登は大丈夫、あの人とは違うわ。」

私はふんわりとお母さんに笑いかけた。

「でもそんなにお母さんが心配するなら、さっさと引っ越しして結婚しちゃおうかな。」

そんな私の言葉にお母さんはホッとした様な表情を見せた。

「…尚登さんの事は信頼しているわ。陶子の顔を見ていたらあの時とは違うって伝わって来ている。」

お母さんは私に目線を合わせた。

「でも親はいつまでたっても不安なのよ。子供には幸せになってほしいから。」

ぽつりぽつりと言葉を選ぶお母さんの気持ちは痛いほど伝わる。

「二人に任せてはどうだね?どうやら上手くいっているようだし。私は尚登君みたいな人間は好きだな。」

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