お見合いから始まる恋→結婚
始まりがお見合いみたいなものだから、それは当然の事だったんだけれど。

引っ越し後、入籍前に会いに行く予定だ。

そばにお兄さんが居る事はうちの両親に伝えてあったが、それ以上の事は何となくごまかしていた。

「そう。」

私は出来るだけ自然にそう答えた。

「じゃあ、今からもう少し荷物をまとめよう。車で来ているから、少し運んでいこうか。」

「そうね、じゃあ私は退散するから。尚登さん、よろしくね。」

お母さんがそう言って完全に出て行くのを確かめると、尚登が不安そうに私を見た。

「どうする?陶子が嫌なら断るけど。」

「一度は正式に挨拶しなくてはいけないよね。私なら大丈夫よ。」

尚登はそんな私をチラリと見て、視線を落とす。

「俺が不安なのかもしれない。」

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