イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
これからくらう衝撃に備え、私はごくりと唾を呑んだ。
「氷見さまのことです」
「氷見さまって、今日の対談相手の氷見彩華さんですか?」
「そうです」
先ほどより一段と声を抑え、葛城さんが頷く。
「その、氷見さまはお家元に対して非常に関心があられるようでして」
「えっ、それって!」
声が大きくなった私を、葛城さんが「しっ!」とたしなめる。
「今日を皮切りに、今後映画のPRの仕事が増えて氷見さまとの接触が増えます。氷見さまはかなり積極的な方なので、お家元もお困りになることが多いのです」
「つまり、氷見さんが必要以上にお家元に近づかないよう見張っていて欲しいと」
「そういうことです」
「はぁ……」
葛城さんに言われ、考え込んでしまった。
通常のアシスタント業務をこなすだけでも精一杯なのに、私にあの氷見彩華をかわすなんてことできる?
「お願いです。結月さんだけが頼りなのです」
「わ、わかりました」
どう考えても不安しか感じないけど、葛城さんの頼みを断ることなんてできるはずもなく。私は仕方なく頷いた。