イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「映画『花酔い』の中で氷見さんは、戦後没落した水鏡流を女手一つで立て直した家元、水瀬響子を演じていらっしゃいますが、どうでしたか、華道家を演じてみられて」
「そうですね。戦後誰もが食べて行くだけで精一杯という時に……」
予定より十分遅れて、対談がはじまった。
生で見る氷見彩華は、テレビや雑誌で見るより数倍綺麗だし顔も小さいし、手足が長くてスタイルもいい。そして驚くほど細い。
対談の内容からも、与えらえた役に真摯に向き合ってきたことがうかがえて、話しぶりも偉ぶったところなんて一つもなく、とてもチャーミング。
こんなにパーフェクトな人からの好意にも動じないなんて、智明さんの理想ってどれだけ高いんだろう。
二人の話に引き込まれるうち、あっという間に時間は過ぎて対談は終了となった。
「お家元、お疲れ様でした」
別件で席を外してしまった葛城さんの代わりに、対談終了後は私が智明さんのサポートに回った。