イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「わぁ、かわいい!」

 映し出されていた映像が、桜の籠から黒っぽい花器に生けられたボリュームのある白い花とガーベラに切り替わった。

 さっきのものに比べると少し洋風なイメージで、私のようにまったくいけばなを知らない者にも親しみやすい。


「それにしても意外だったな。田上さんっていけばななんてやってるんだ?」

 感心したように尋ねる店長に、田上さんは「違う違う」と右手を振る。

「残念ながら私にそんな高尚な趣味はないわよ。実はこのいけばなの先生がすっごいイケメンでね、目の保養になるのよ」

「なんだ田上さん、イケメン目当てかよ」

 店長の突っ込みに、ドッと笑いが起きる。


「あら、イケメンの威力はすごいのよ! 綺麗な顔眺めてるだけで幸せな気分になるし、テレビや雑誌チェックに忙しくしてると張り合いが出て、気分まで若返っちゃうんだから」

「とりあえず田上さんがそんなに興奮しちゃうくらいのイケメンなんだってことは十分伝わったよ」

 田上さんの勢いに押され気味の店長が、苦笑まじりに答える。


 それにしても、好きな人の力って偉大なんだな。

 いきいきと話す田上さんが、微笑ましくて、ちょっと眩しい。

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