イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
病院に着いたのは、面会終了時刻の三十分前だった。
恵理との電話を終えたあと、一度自宅へ戻ってメールや郵便物をチェックしたけど、やっぱり会社からは何の音沙汰もない。
会社の採用担当の人にも連絡を取ろうとしたけど、何度かけても電話は繋がらない。会社の代表電話やお客様センターにかけても同じだった。
一緒に採用された仲間とも連絡を取り合ったけど、みんな不安を口にするだけで、誰一人として状況を知る人はいなかった。
どうしよう、ずっとウェディングプランナーになるのが夢で今まで頑張って来たのに。
このままじゃ、本当に夢のままで終わってしまう……。
途方に暮れたまま、父の顔を見に病室へ向かった。
「あ、藤沢さん。ちょっといいですか?」
廊下を歩く私を呼び止めたのは、病棟の看護師さんだった。
案内され、ナースセンターへ向かう。
当直の看護師さんたちは消灯前の見回りに行っているのだろう、彼女の他に人影はなかった。