イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「会計から預かってました、今月分の請求書です」

「あっ、すみません。ありがとうございます」

「何かわからないことがありましたら、会計までお尋ねくださいね」

 封筒を受け取り、柔らかに微笑む看護師さんに頭を下げ、父の部屋に入った。


「父さん、遅くなってごめんね」


 眠ったままの父に声をかけ、ベッド横のパイプ椅子に腰かけた。途端に一日の疲れがドッと押し寄せる。

 考えてみたら、会社倒産のニュースを知ってからずっとバタバタと走り回っていた。


「そうだった、請求書」

 一息つく間もなく、先ほど看護師さんから渡された封筒を開ける。

「……えっ、こんなに?」

 請求書に記載された金額に、目のくらむ思いがした。

 手術代も含まれているせいか、想像以上に高額だ。


 とりあえずは、手元にあるお金でなんとかなるだろう。

 でも、父の入院期間がどれだけ長引くかわからない今、今後のことを考えると不安だけが募ってゆく。

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