イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「すみません、ここから内定もらってた方? インタビューいいですか?」

 私のすぐ隣にいた背の高い男性に、テレビカメラを引き連れた女性レポーターが話しかけてきた。

 彼がOKの返事をすると、レポーターは待ってましたとばかりに質問を浴びせてくる。


 怒号を上げる人、泣き崩れる人、それに群がる報道関係者。

 皆が次第に熱を帯びていく中、ビルの中は相変わらずひっそりと静まったまま。

 私は、その様子をただ呆然と見守ることしかできなかった。


 内定者説明会や研修の時は、あんなに熱心に会社の将来性だとか今後の事業拡大の予定だとか話してくれて、私達の話も丁寧に聞いてくれてたのに。

 会社がダメになった途端、私達はこんなに簡単に放り出されてしまうんだ……。

 きっともう、会社の人と直接会って話せることはないんだろうな。


 突然、言いようのない虚しさに襲われた私は、そっと群衆の中から抜け出した。

< 33 / 178 >

この作品をシェア

pagetop