イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「でも私なんかが何か言っても、言うこと聞いてもらえない気がする」
「まさか、あのいけばな王子が? 優しそうだし、すんなり言うこと聞いてくれそうじゃない?」
「うーん、どうだろう。アシスタントの話された時も、実は結構強引だったんだよね……」
実際の羽根木さんは、世間一般に浸透している王子様イメージとはどうもちょっと違う気がする……。
「だけど、困ってる結月のこと好条件で雇ってくれたんでしょ。いい人じゃない」
「うん、それはそうなんだけどね……」
「何よ、歯切れ悪いな」
「もうね、毎日自分の無力さを思い知らされちゃって」
羽根木さんのアシスタントになって一週間。色々な現場に行ったけれど、今のところ彼の役に立てているという実感はない。
いけばなの知識のない私が現場にいてできることなんて、せいぜいお茶くみや花を活けた後の片付けくらい。
実は葛城さんも観月流の師範代の免状を持っているらしく、スケジュール管理などの秘書業務だけでなく、作品制作や指導の際のアシスタントまですべて葛城さんが行っているというのが現状だ。
はっきり言って、自分があの雇用条件に見合う仕事をしているとは到底思えない。