イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
不意打ちで名前を呼ばれ、息を呑んだ。
聞き間違いじゃないよね? 今羽根木さん、私のことを『結月』って呼んだ!
名字呼びをやめたってことは、ひょっとしてここからはもうプライベートの時間だって言いたいのかな?
「ビビりすぎって、こんな高級車初めて乗るんだから仕方ないじゃないですか!」
「こんなんでよかったらいつでも乗せてあげるよ。すぐ慣れる」
「遠慮しときます! あ、あと毎日の送迎も結構ですからね。ちゃんと自分で通えますから」
「それはダメ。それじゃあ圭吾さんに申し訳が立たない」
あっさりと却下して、羽根木さんはエンジンをかける。
「自宅までいいんだよね?」
「はい、お願いします」
滑らかなスタートを切り、車はビル街を走り出した。
家柄や育ちのせいだろうか。羽根木さんはちょっと過保護すぎるところがあると思う。
スタッフの一人である私のことを大事に思って、色々してくれるのは嬉しいんだけど。
ちょっと愛情の示し方が極端っていうか……。
どう説明すれば伝わるかよく考えて、私は口を開いた。