イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「大丈夫ですよ、お家元。そんなこと父が気にすると思います? きっと父が起きてたら『何考えてんだ、贅沢すぎる!』って逆にお説教されちゃうと思いますよ」
「圭吾さんなら、確かに……」
視線は前方を捕えたまま、羽根木さんが答える。
父はとっても優しい人だけど、不必要に相手を甘やかすような人じゃない。
ちゃんと見てくれていて、どうしても必要だと感じた時にだけ、そっと手を差し伸べてくれる。そんな人だ。
「それに私、一日でも早く自分一人の足で立てるようになりたいんです。父が目覚めた時、病気をして私を一人にしたことを気に病んでほしくない。たぶんリハビリとかも必要になるだろうし、目が覚めたらとにかく自分のことだけに専念してほしいんです」
信号が赤に代わり、車が停止する。羽根木さんはハンドルにもたれると、ポツリと呟いた。
「結月は、いい子だね。圭吾さんが大事に育ててきただけのことある」
「お家元……?」
まるで父と私をずっと見てきたかのような口ぶりだ。