独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
こんなところ、一般人では住めないだろうし、納得。
海外の有名なホテルみたいな外観。そして内装も負けず劣らずゴージャスで、洗練された美しさ。
「はぁ……すごい」
ここにいていいものか躊躇うほどの高級感に恐れ多く思いながらエントランスに足を踏み入れた。
だってここで生活するように言われているんだもんね、入らないわけにはいかない。
「いらっしゃいませ」
受付にいるコンシェルジュさん――見た目三十代くらいの美しい女性に声をかけられた。
「あの……佐々木智也さんの、つ……妻……なんですが――」
まだ婚約届は出していませんけど! と心の中で補足しつつ、弱弱しい声でそう伝えた。
「藤崎詩織さまですね。登録していただいております」
「登、録……?」
「はい。こちら、セキュリティのシステム上、顔認証をさせていただいております。佐々木さまからお預かりのルームキーとは別に顔認証システムが至るところに搭載されております」
「そう、なんですね……」